はじめに

いま、わたしの手元に1冊の本があります。

本のタイトルは「ホーキング、宇宙を語る」。著者は言わずと知れた、理論物理学者のスティーヴン・ホーキングです。

その冒頭にある、天文学者のカール・セイガンが寄せた序文に次のような文章があります。

「…なぜ、自然界はこうなっているのか、宇宙はどこから生じたのか、それともずっと存在してきたのか、時間がいつか逆転して結果が原因に先行することはないのか、人間の知りうることには究極的な限界があるのかどうか、…ブラックホールとはどんなものか、物質の最小のかけらは何か、なぜ人は未来ではなく、過去を憶えているのか、はじめに混沌があったとしたら、いま秩序があるように見えるのはどうしてなのか、なぜ宇宙があるのか、…」

(ハヤカワ文庫『ホーキング、宇宙を語る』P.9より)

このブログのサブタイトルにもある「ミロクの問い」とは、まさにこのような問いです。

古来より、学者や精神文化の素養がある者たちは、この問いに魅了されてきました。また、わたしたちが存在する創造世界がどうして始まったのか、また、どのように始まったのかを探求してきました。

そして、理論物理学や量子論といった現代科学の最先端はその答えに肉薄しつつあります。

しかし、同時に科学は自らの限界に差し掛かりつつあります。真理は、科学が道具としてきた言語と数式の向こう側にあるのです。

科学の限界を超えるものーそれは精神文化の中にあるのだと思います。とりわけ、仏教は論理的・体系的に宇宙の仕組みについて説いています。

ところで、今日の日本において、「ミロクの問い」に答え続ける人がいます。彼の名は、小宮光二。30年以上にも及ぶ研究による法華経の深い理解をもとに、彼は現代的な視点でかつて釈迦あるいはイエス・キリストが見た創造世界の真理について語っています。

彼の講説は、Youtubeの数多くの動画で視聴することができますが、聞き慣れない仏教用語や、難解な概念が出てくるため、理解に苦しむ視聴者も多いのではないかと思います。また、耳で聴くよりも、関連した読み物を文字で読んだ方が理解がすすむ人もいるかもしれません。

わたしは、そうした方々の一助となればと思いこのブログを始めました。ここでは、小宮氏の教説に関する解説や、わたし自身の彼の教説の理解に基づく法華経の注釈などを書いていきたいと思っています。

また、読者の皆さまの研鑽に繋がるような小宮氏の教説に関する論考やエッセイも書いていきたいと思います。

それでは、宇宙の始まった謎に迫る旅に出かけましょう!