宇宙は超高温・高圧の火の玉が爆発することによって始まったといわれるが、この爆発はビッグバンと呼ばれている。
では、ビッグバンはなぜ起こったのか?
理論物理学者たちの懸命な努力にもかかわらず、その謎は科学的にはいまだ解明されていない。この点について、S.ホーキングは「宇宙は無から自らを生み出したとしか考えられない」と述べている。
宇宙の起源を考えるにあたっては、仏教的な視点が必要である。小宮氏の理解によれば、ビッグバンは生物・無生物を含めた全存在の個々の精神(=何もない真空)の中で起こるということである。その宇宙創造のうち、授記を得た菩薩が起こすものを”現一切色身三昧としての”ビッグバンと小宮氏は呼んでいる。
この点について、S.ホーキングは、また、「もし、宇宙の一切を理解した人がいたら、その人の内面性に宇宙そのものが入ってしまうだろう」と示唆に富んだ言葉を遺しているという。
そして、無限の「個」の数だけ宇宙があるとすれば、それぞれの「個」は別の宇宙(世界)の中を生きているということになる。
このことは、「現在」は自己の内にしかなく、他社とけっして共有できないことからも裏付けられる。
わたしたちが視覚的に得る情報は、全て、過去の像である(例えば、太陽は約8分前の姿であるし、月は約3分前の姿である)。いかに近いものであっても、完全な今の姿を認識することは不可能である。
したがって、純粋な「今」は、「個」の中の観念的なものでしかなく、それぞれの「個」が別々の時間軸(=平行世界)を生きていると考えたほうが辻褄が合う。
なお、哲学的には、時間=自己存在と考えることも可能である。