宇宙が生まれる場のこと。小宮氏の動画では、よく「宇宙が始まる前の何もない真空」という表現が使われる。
宇宙は「自発的対称性の破れ」という、いわば、エネルギーの平衡状態への移行によるビッグバンの発生により生まれるという(南部陽一郎博士の説)。
小宮氏によれば、「何もない真空」は物質的宇宙と時空が生まれる前の「精神」に他ならないという(精神の中に宇宙が生まれるという言い方が正しいかもしれない)。
上記で、「物質的」と書いたが、物質は細分化すれば分子→原子→素粒子となり、究極的にはエネルギーを表現する「場」という概念となる※。
※「Newton別冊『無(ゼロ)の科学」P.104-105参照
すなわち、物質は突き詰めれば観念であるといえ、「物質=精神」と言っても過言ではないだろう。
ちなみに、この「何もない真空」は法華経の言葉でいえば「多宝塔(ストゥパ)」ということになる。
【「見宝塔品」で「多宝塔」の本質を語る5つの文章】
(文章は中公文庫 『大乗仏典5 法華経Ⅱ』より)
P.23
①「大楽説よ、この宝玉からなる巨大なストゥパのなかには、如来の身体が完全な一体のまま(全身)で安置されているのである~」
(シャーキア・ムニ如来の言葉として)
※「如来の身体(全身)」=多宝如来(入滅したすべての如来)
②「実に私は、かつて菩薩の修行を行っていたとき~この「正しい教えの白蓮」という法門を聞かないうちは、この上ない正しい菩提において完成されなかった。しかし、私(多宝如来)はこの”正しい教えの白蓮”という法門を聞いたあとでこの上ない正しい菩提において完成されたのである。」
(多宝如来の言葉として)
②「実に、比丘たちよ、私が完全な涅槃に入ったあとで、この如来(多宝如来)の身体全体(全身)(を祀る)ために一基の宝玉からなるストゥパを建立しなさい。さらに、私のために他のストゥパをも建立しなさい」
(多宝如来の言葉として)
※前段は弟子たちに「如来となった人生において教えの会合(虚空会)を開催して、”正しい教えの白蓮”について説け(そうすればストゥパが現れる)」という旨の指示。後段は「授記を自らの弟子にも授け、同じことを指示せよ」という旨の指示。
P.25
④「十方のすべての世界にある仏陀の国土において、この”正しい教えの白蓮”という法門が説き明かされるときには、そのどの(仏陀の国土)にも、私(多宝如来)のストゥパ、この私の全身を祀るストゥパがあらわれてくるであろう。(また、)それぞれの仏陀・世尊がこの”正しい教えの白蓮”という法門を説いているとき、集会の真上の空中に(そのストゥパ)がとどまるであろう。そして、~この私の全身を祀るストゥパが賞賛のことばを発するであろう」
(多宝如来の言葉として)
⑤「~他のもろもろの仏陀の国土において、仏陀・世尊たちがこの”正しい教えの白蓮”という法門を説かれるとき、私(多宝如来)はこの私の全身を祀るストゥパをして、この”正しい教えの白蓮”という法門を聴聞するために、(それらの)如来のもとに赴かしめよう。~」
(多宝如来の言葉として)
なお、ここでの①~⑤の多宝如来は、ある過去仏の代表モデルという意味合いが強い。
【言葉の対応関係】
法華経 | 現代語 | |
場 | 多宝塔 | 何もない真空 物理的エネルギーの基底状態 |
存在 | ・多宝如来(の遺骨、全身) ・入滅したすべての如来の遺骨 |
・全ての情報 ・全ての過去 ・最も大きな無限(=無) (ただし、通常の想像レベルを超えている) ・真我 ・(全存在共通の)精神 |